シリーズ第3弾 「家畜に親しむ食育絵本」6月発売!
食育絵本シリーズ第3弾となる「家畜に親しむ食育絵本」、
『牛の教え』『豚・鶏の教え』が2022年6月、2冊同時に発売予定です。
今回はそのデザイン・イラストの一部を公開します。
牛肉を食べても“牛にならない”のはなぜ?
食卓で人気の牛肉に期待される栄養素といえば、まず「たんぱく質」。
一口にたんぱく質といっても、人体だけでも10万種もあり、その違いはたんぱく質を構成している約20種類のアミノ酸の組み合わせ方(アミノ酸組成)によって決まるとか。
牛肉には牛に固有のアミノ酸組成があり、牛肉のままではいくら食べても、人体を構成するたんぱく質にはならないというわけだ。
と、ここまでは、よく知られた常識だが、以下、『牛の教え』の原稿(編著者:藤原勝子)の一部を引用しながらまとめてみた。
食肉のたんぱく質は100点満点だが・・・
食肉のたんぱく質は、ヒトの体内に入ると消化吸収され、アミノ酸に分解され、細胞にある「設計図(DNA)」に従って、改めてヒトに固有のたんぱく質が再構成される。
ちなみに一人一人のたんぱく質の設計図はみな異なり、他人からの臓器移植が難しいのは、そのためだそうだ。
ヒトに固有のたんぱく質が再構成されるとき、どうしても補わなければならないアミノ酸が10種類あり、これが「必須アミノ酸」。
注目すべきは、牛肉も豚肉も鶏肉も必須アミノ酸がすべてそろっていて、その評価(アミノ酸スコア)は100。評価を見る限り、たんぱく質源としては、非常に頼りがいがある食品といえる。
地球温暖化の中で食肉の食べ方を考える
人口急増と地球温暖化に伴う食料危機も深刻な問題だ。家畜は人間の貴重な食糧であると同時に、地球温暖化の一因にもなっているとか。
ただし、過大に問題視されているのは酪農や畜産の盛んな欧米でのこと。日本ではむしろ食品ロスによる二酸化炭素の排出問題のほうが大きいようだ。
こうした中、2019年、国際的な専門家によるランセット委員会(認知症など最新の健康・栄養ニュースを英国の医学雑誌『ランセット(Lancet)』を中心に発信している専門家集団)が「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」を提案した。「地球の健康こそが個人の健康につながる」という考え方で、たんぱく質は魚や鶏肉、豆類から摂ることが勧められている。
肉類の1日の推奨量は、赤身肉14g、鶏肉などの白身肉20g。これはハンバーガー1個で1週間分、ステーキ1枚で1か月分に相当する。この推奨量は世界の肉類の消費の現状からは程遠い。しかし、今のまま何もしなければ温暖化は進み、地球上の生物が生きていけなくなってしまう。
下図のように、動物農業と植物農業は共生・補完的に成り立っている。
動物性たんぱくか、植物性たんぱくかの二元論に終わることなく、こうした生態系サービスのバランスを踏まえた、グローバルでローカルな食料政策が必要だろう。
【ひつじ事典】
食育絵本シリーズは、2020年5月創刊。
『野菜の教え』(春・夏編/秋・冬編)、『魚の教え』(上巻 食べて生きる/下巻 泳いで生き抜く)がともに「全国学校図書館協議会選定図書」に選ばれました。
さらに『野菜の教え』は、令和2年度「厚生労働省 社会保障審議会推薦 児童福祉文化財」にも選定。
©GUN-YOSHA 2021(文責M)